Different world story






「……頭かっ!」


 賊軍の核が出てきたのか。

 まずい。ミヤコはギリッと歯ぎしりした。ここは人が多すぎる。

 人々が逃げ惑う。ミヤコはそれに押されて前にいけない。

 どうにかして応戦しなければ。たちまち広場が血の海になる。

 ミヤコは右手を伸ばす。誰か。


「――ノアっ!」


 咄嗟にその名を呼んだ。

 悲鳴にかき消されたかもしれない。それでも必死で伸ばす右手。

 何度も空を掴んでいたその右手は、しかし直後に手ごたえがあった。

 誰かの手だ。ミヤコの右手をしっかりと握っている。

 ミヤコは必死で手にすがった。瞬間、ぐいと人ごみから引きづり出される。

 ハッ、と息を吐く。それから顔を上げた先に、呼んだその人が同じように、肩で息をしながら立っていた。


「……ノア、」

「だから、迷子になるなって言っただろ。」


 ミヤコの声を遮って、ノアは口角を持ち上げた。その中に真剣な色が混ざっていることを、ミヤコは悟った。

「……うん。」と、ミヤコは瞼を伏せた。

 息を整え、そうして改めて周りを確認する。

 ノアの近くにハルトが居るのを見つけ、安堵した。

 自分たちが居るのは広場の外だった。だいぶ人に流されていたらしい。

 ミヤコは自分の腰に剣があることを確かめ、二人を見やった。