もわもわと湯気をたてるココアに映る、淀んだ加奈の顔は、淋しげに揺れていた。 「好きな奴が居るって。 酷いよね。結婚式まで決めててさ ……愛人の方に、行くなんてーーーー」 その時、加奈の大きな目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。 ーーーー似てる、と思った。 俺は裏切られた訳じゃ無いけど。どこか似てるって。だからなのか、俺は加奈をそっと抱き寄せた。 「……泣くなよ、加奈……」 そう言うと、加奈はいっそう大きな声でしゃくりあげたけど。