やがてゆっくりと、唇が離れていった。



「ーーーーごめん。分かってるんだ、こんなのズルいって。椎名の弱みに漬け込むなんて、最低だって……」



「……うん」



「本当はさ、伝えるつもりなんか無くて。あんたが幸せならそれで良くて。……でもさ、幸せじゃ、無いじゃん……。苦しんでるじゃん」



いつになく饒舌になっている彼は、じっと私を見据えてから、悲しげに微笑んだ。



「ーーーーーそんなあんたを、ほっておける程、俺は人間出来てないから」