キッチンに向かって、とりあえずそれぞれの準備に取りかかる。 私が作るのは、二種類。 友達には生チョコだけど、光弥にだけは特別に、ケーキにすることにした。 ねえ、光弥……覚えてる? 今日が、三年目のお付き合い記念日だって。 翌日。 「こ、光弥……これ!」 私はそう言って、チョコケーキの入った紙袋を差し出した。 光弥はそれを一瞥すると、静かに受け取った。 「ん。」