次にもう一つの黒い包みのチョコレートを食べると、
口のなかは甘さから一転、苦くて苦しくて…涙が出た。



そのとき初めて食べた2つのチョコレート。



同じチョコレートなのに
まったく違う味を出す。



涙目でおばあちゃんを見る私の頭をしわしわの手でおばあちゃんはなでなでをしてくれた。


私はこのしわしわの手でなでなでしてもらうのが大好きだった。



おばあちゃんは柔らかく微笑みながら言ったんだ。


「結ちゃん、その2つのちょこれいとはね、恋の味なんだよ?」


「こい……?小池にいるこいさん?」


「違うよ…結ちゃんもおっきくなったらいつかわかるよ。おばぁの言ったこの意味がね…」


優しい声色で話すおばあちゃん。

それにわからないながらも頷く私。

「う…ん!なら結、早くおっきくなりたい!!!早くおばあちゃんの言った意味を知りたい!」


「急がなくても、いずれ時が来たらわかるわよ…ね?」

「じゃあ結がわかるまでおばあちゃん一緒にいてね!!!」

「あぁ。当たり前だよ」







そして六年後、私は未だその意味をわからないまま、おばあちゃんはガンで旅立ってしまった。

そしてさらに5年が、経った。