おばあちゃんは、アユの言った言葉の意味が分からないのか、にっこり笑って、また掃除を始めました。

それが、おばあちゃんとの出会いだった……。



*   *   *


灯りの消えた暗い部屋。健二はまだ帰ってない。
渋谷でホストをやってる健二は、今年21歳になる。店では人気があるらしい。
クラブでナンパされたのが知り合うきっかけだった。
「家、どこ?送ってくよ」
『家?そんなのないよ』
「泊まる場所あんの?」
『ない』

そのまま泊めてもらい、タダでやらせた。それから、行く場所ないときは、ここで寝るようになった。
アユには、こんな関係が楽だった。恋だの愛だの、吠える奴はタルイ。愛なんて、アユには必要のない言葉だった。



ドアが開いて、健二が帰ってきた。
「来てたの?」
『うん。帰るとこないから』
家には、もう何ヶ月も帰っていない。帰るつもりもなかった。
アユの制服を見て、健二がいきなりスカートの中に手を入れてきた。
アユはテレビを見たまま、勝手にやらせている。