「抱きしめるのはいいってか？」
「だって、仕方ないじゃない。他に方法が無かったんだもん」
葵は涙目になりながら、
手をギュッと握りしめている。
「じゃあ、私があの子とキスしたりしても良かったの？」
「いいワケねぇだろ。葵は俺のもんなんだから」
俺は今にも泣き崩れそうな葵を
力いっぱい抱きしめた。
「ごめんね？」
「ん……いいよ。さっきのは不可抗力だし」
「うん」
「けど、本当にキスして無いよな？」
「なっ？！してるワケないじゃない！！私、そんな軽い女じゃないよ？亘とだって…「あぁ？！」
「あっ……」
「ストーカー男が何だって？」
俺は葵の言葉を聞き逃さず、
意地悪に彼女を問い質す。
「もう！！知ってるくせに！！」
「フッ、葵がアイツの名前を出したからだろ？」
「もう！！」
