Special Edition


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「世子様」
「用意が出来たか」
「はい」
「ソウォン、参るぞ」

湯浴みの用意が整い、声がかかる。
昨夜の出来事を思い出し、ソウォンの足が竦んだ。

「世子様、……お一人でお入りになられては?」
「何を申す。せっかく温陽に来たのだから、夫婦水入らずでよいではないか」
「………」

皆が寝静まった頃にこっそり入るならまだしも。
行宮にいる誰もが知っているという状況が、受け入れがたい。

それでも、共寝に関しても食事に際しても。
常に女官や内官が傍にいて、戸越に会話を聞いているのだから、心が落ち着かなくても仕方がない。

世継ぎを授かるために、わざわざ温陽行宮を願い出てくれたのだから、従うしかない。

世の中には、一夜にして身籠る女性もいるというのに。
半年もの月日が経っても未だに懐妊の兆しすらない。

前妃のダヨンとの関係は、表向きは良好だったものの、実際は共寝を一度もしたことがないという。
それらしく振舞って誤魔化していたと聞かされているソウォンは、同じ轍を踏まないようにと、それだけが心配で。

一日も早く、御子が授かれれば……。

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「良い香りがするな」

チョンアにお願いして、湯の色を乳白色にして貰った。
花弁を浮かべてても、無色だと不要に緊張してしまって。
少しでも直視せずに済む方法を悩みあぐねた結果……。

「お背中、流します」
「ん、……では頼む」

ヘスの玉帯を外し、上衣を剥ぐ。
それをする手が緊張のあまり、震えてしまう。

「寒いのか?」
「っ……いえ、大丈夫です」

肩口に添えた手に、ヘスの手が重ねられた。

「そなたも入れ。温まるぞ」
「……はい」