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「ソウォン、足下に気を付けよ」
「はい」
食事を終えたヘスとソウォンは、数名の女官と護衛を連れ、子宝祈願に寺院へと。
石段を上り、その先にある仏閣に入る二人を建物の外で待機する女官と護衛。
ヘスとソウォンは両手を合掌させ、軽く頭を下げる。
座布に膝をつき、両掌を伏せて額も床につけ、その両掌を裏返し、頭を上げる。
これを繰り返しながら、健康な御子が授かるようにと祈願する。
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「ソウォン、歩けるか?」
「……はい、世子様」
額に薄っすらと汗を滲ませ微笑むソウォン。
三礼で済ませようと思っていたヘスだが、ソウォンは厳粛な祈願だと言い、百八回をやり切った。
女官に手を添えられ、別室へと。
住職が茶を淹れてくれたようで、少し休んでから行宮に帰ることにした。
少しふらつくソウォン。
無理をしても祈願したかった気持ちが分からなくもないが、ヘスは何よりもソウォンが第一である。
「世子様」
「清和尚」
「大丈夫ですよ」
「ん?」
「嬪宮様に後光が差してますから、心穏やかにお過ごし下さい」
はっきりと断言はせずとも、欲しい言葉を貰えた気がした。
ヘスは深々と拝礼し、ソウォンのあとを追う。
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「嬪宮は?」
「先ほど、尚宮様と裏庭に行かれました」
「裏庭?」
ソウォンの姿が見えず、女官に声をかけたヘスは、裏庭へと向かう。
すると、裏庭に咲いている花を摘んでいるようだ。
「世子様っ」
「花摘みがしたかったのか?」
「あ、いえ。……世子様にお茶を淹れて差し上げようかと」
「茶を?」



