Special Edition


「やはり、縁なのであろう」
「……縁」
「十年の時を経ても、縁があれば必ず会う定めであろうから」

優しい笑みが向けられる。
ずっと心に留めていた想いだったと伝わるように。

ソウォン以外の娘を妃に迎えても尚、心にはソウォンしかいなかった。
他の者が入る余地すらなかったのだ。

「お背中を流します」
「……ん」

ソウォンは手桶で湯を掬い、それをヘスの背中へとゆっくりとかけ、手巾で優しく拭う。
その背中には、刀傷や矢傷の痕が痛々しく残っている。

その傷痕に指先を這わせ、ヘスが背負って来た宿命の重さを改めて実感した。

肩口にある傷痕にソウォンの指先が触れた、その時。
ヘスはソウォンの手を掴み、自身の体を反転させながらソウォンの体を引き寄せた。

「っ……、世子様っ……」
「誘ったのは、……そなたではないか」
「誘ってなどっんッ……」

ヘスの膝上に抱えられたソウォン。
熱い視線を向けられ、反論の言葉でさえ唇で塞がれた。

下着の布地から露わになっている部分の肌が、ヘスの肌に直に触れる。
湯温で温められたその肌は、ぬくもりと愛しさが相まって。
ソウォンの心の臓は途端にけたたましく鳴り響く。

火照る体。
潤う瞳。
濡れた髪。

ヘスの理性を奪うには十分。
酒の酔いも回り始め、ヘスの欲情が迸る(ほとばし)

口づけを堪能したヘスは、腕の中のソウォンに視線を落とす。
先ほどより更に肌の色が赤らんでいるのに気づく。

「湯あたりするから、出るぞ」

膝の上に抱えているソウォンをそのまま抱き上げて湯船から出た。