「ッ?!」
突然、背後からふわりと柔らかい物で身体が覆われた。
驚いたのも一瞬で、爽やかな柑橘系の香りに纏われ、犯人が誰だか直ぐに分かった。
「小町、身体が冷えるぞ」
「……………ん」
更に耳元に甘美な声音で囁かれ、志帆ちゃんの唖然とする視線を感じながら、声のする方に顔を向けた。
「ありがと、大和。私は大丈夫だから」
「今は大丈夫でも、これからもっと冷えるから」
「冷えるって言ってもお天気も良いし、今日の天気予報だとそんなに冷え込まないって」
「天気予報は当てにならない」
「…………そうだね」
何を言っても聞き入れて貰えそうにない。
彼は至極真面目な顔をして私を心配してくれている。
だから、ここは私が折れるべきで……。
心の中で大きな溜息を吐くと、
「ちょっと、麻生さんっ!!」
「あ?」
「さっきから、何なんです~?!」
「………どういう意味?」
「ちょっと、志帆ちゃんっ!」
「先輩は黙ってて下さい!!」
「うっ……」
ダメだ。
志帆ちゃんがキレてしまった。
志帆ちゃんは姿勢を正し、射竦めるような視線を大和に向けた。



