「いらっしゃいませ~」
大きなガラス張りの建物の中に足を踏み入れると、どこからともなく溢れて来る挨拶の声。
そして、ビシッとスーツを身に纏う男性が俺らのもとにやって来て……。
「こんにちは、お待ちしておりました」
満面の笑みを浮かべ、恭しく頭を下げた。
「急な変更ですみません」
「いえ、こちらの方こそ、ご足労頂き申し訳ありません」
蘭はスーツ姿の男と会話をする俺を見上げ、不安そうに俺の手を掴む手にギュッと力を込めた。
すると、
「お茶でも如何ですか?」
「いえ、この後、用事があるので」
俺はやんわりと断り、視線を蘭に向けると。
「そうですよね。お天気もいいですし、絶好のデート日和ですよねぇ♪では、ご案内致します。どうぞ、こちらへ」
男の言葉に苦笑しながら、俺は蘭を連れて男の後を追った。
一旦外に出て、駐車場を奥へと進むと。
「久峨様、こちらになります」
「ッ!!…………」
一瞬で目を奪われるほどの輝きを放つ相棒がいた。



