栗色の長い髪は緩いウェーブを描き、ほんのりとメイクも施され。
桜色のふんわりニットの上にデニムジャケットを羽織り、短過ぎない膝丈の真っ白なチュールスカート。
足下はハイカットのスニーカーを合わせ、上品なのに女の子らしさも兼ね備えた可愛らしいコーデで登場した。
「周くん、蘭を宜しくお願いね♪」
「あ、はいっ!行って来ます」
「ママ、行って来るね」
「行ってらっしゃい、気を付けてねぇ♪」
蘭の母親に見送られ、俺らは蘭の自宅を後にした。
駅へと向かう道のり。
何度も通った筈なのに、初めて歩くみたいに新鮮に感じた。
蘭の歩幅に合わせ、少しゆっくりめに歩くと、不意に上着の裾が引っ張られた。
すぐさまその元へと視線を向けると、じっと見上げる蘭がいた。
「どうした?」
「…………」
早く歩き過ぎたか?
それとも、どこか………行きたい所があるとか?
「どこか、寄りたい店でもあんの?」
「………ううん」
「じゃあ、何?」



