自宅を出た俺は、久しぶりに電車に乗り込んだ。
車の免許を取ってからは親の車を乗り回してたけど、さすがにデートにダサい車を使う訳にもいかない。
だってカッコイイ俺が、如何にもオヤジが乗り回すようなセダン車が愛車って………ナイナイナイ、想像もしたくないね。
蘭の家へと向かう足取りも軽い。
初めてのデートというのもあるけど、それ以上に俺には、心を弾ませる事が待ち受けているんだ。
スキップしたくなるようなテンションで、俺は蘭の家へと向かった。
蘭の自宅のインターホンを鳴らすと、
「はい」
「あっ、おはようございます、久峨です」
「はぁ~い、ちょっと待っててねぇ♪」
蘭が応答に出るかと思っていたから、母親の声に一瞬たじろいでしまった。
クラブのママという事もあるのか、スピーカーから漏れて来た声も色っぽく感じた。
声の質から言ったら、蘭も似ている。
やっぱり母娘なんだと改めて感じた。
ドアの前で髪を手櫛で直していると、カチャッという音と共に愛らしい姿の蘭が姿を現した。
「お待たせしました」



