無料で配られる年越しそばは、僧侶の方々が手打ちで作っているものらしく、コシがあってとても美味しかった。
その後、私達は鐘つきの順番札を頂き、時間になるまで本堂や敷地内を散策した。
そして――――――。
私達の順番が訪れた。
鐘を前にして合掌し、一礼。
そして、今年一年を振り返り、苦しみや災いがなくなり、素晴らしい新年が迎えられるように心の中で唱えながら……。
ゴォ~~~~ォ~~~~ン
辛い想いも
悲しい出来事も
涙した日々も
全て浄化されたかのように……。
一颯くんも突き終わり、私達はスッキリとした顔で再び本堂へと戻った。
そして、甘酒を頂きながら、肩を寄せ合い微笑み合う。
煌々と焚かれているストーブに負けないくらい、私達の心はポカポカだ。
そして、新年を知らせる108回目の鐘の音を聞いて………。
繋いでいる手を、どちらからともなく握り返して……。
お互いの瞳に
世界で一番好きな人だけを映して―――――
私達は一生忘れられない…………倖せに溢れた新年を迎えた。



