俺は再び息を殺して、2人の会話を盗み聞き。
すると、何やら本田が小声で話している様子。
ドア越しの俺には殆ど聞こえて来ない。
肝心な部分が抜けてたら、余計に変な想像をするだろうが。
内心苛々しながら、ドアの奥の会話に集中していると
「あっ、それって、プレゼント用みたいにして送って貰えるの?」
「友達にでもあげるの?」
「ううん、違う。ラッピングしてあったら、要でも下手に開けたりしないから」
杏花の言葉に一瞬心臓がチクッと痛んだ。
それほどまでに俺に知られたくない事。
きっと、本田に頼んだ物をその相手にあげるのだろう。
プレゼントとは呼べないような物であっても、
俺以外の奴に好意を寄せているのは確定だな。
「あっ、それとも、村岡さんを通して渡して貰っても……」
「お義母さん?………う~ん、そうね、そっちの方がいいかも」
村岡には話しても大丈夫と思うって事は、
この家で俺は除け者扱いという訳か。
「じゃあ、直ぐに手配しとくね?」
「うん、宜しくお願いします」
2人の会話をどこか虚ろな気分で聞きながら、
俺は冷め切った紅茶を手にして、リビングへ戻った。



