昔ならともかく、飲み歩いてる訳でもないし
勿論、浮気なんてモノはしていない。
天地がひっくり返ってもそれだけは断言出来る。
だとしたら、他に何か原因があるだろうか?
俺は小首を傾げて唸り始めた。
そんな俺を嘲笑うかのように………。
「シない間に下手になったとか?」
「はっ?」
「いや、それも無いか……」
「………そうなのかなぁ?」
聡に言われると、何だかそんな気になって来た。
かと言って、他で練習する訳にも行かず。
途方に暮れ始めると………。
村岡が温かい飲み物を手に
ゲストルームの方へ歩いて行く姿が視界に入った。
「あっ、村岡」
「はい」
「それ、俺が持って行くよ」
「えっ?………でも」
「いいからいいから」
俺は紅茶が乗せられたトレイを取り上げ、
「ちょっと行って来るな」
「おぅ、行って来い」
聡にアイコンタクトを送り、
忍び足でゲストルームへと歩み進めた。
ゲストルームのドアの前。
息を殺して、ドアに耳を当てると……。



