「そろそろ、いいんじゃないか?」
「…………」
「欲しくても、出来なくなるぞ?」
「………そんな事、解ってるんだけど」
「だけど?」
「…………俺と結婚したいのかすら解らなくなって来た」
「は?」
「いや、だから……。最近、仕事が楽しいみたいでそういう雰囲気すら薄らいで来たんだよ」
「………それって、違うんじゃないか?」
「えっ?」
「きっと、本宅で……頻繁に斗賀を見てるからだろ」
「………そうなのか?」
「あぁ。首がすわり始めて来たから、出掛けるのも楽になって、杏花が週3~4日ペースで行ってる筈だから」
「…………じゃあ、結婚したくない訳じゃ……無い?」
「当たり前だろ。ってか、未だか未だかと待ってると思うぞ?」
「…………」
聡は半信半疑のようだ。
聡が悩む気持ちも解らなくはない。
本田は元々クールで表情を崩さないタイプだし、
お互いに仕事が忙しくて、時間なんてあってないようなものだ。
そんな2人が決して離れず、
こうして寄り添えている事に俺は尊敬すら覚える。
2人には幸せになって貰いたい。
こころからそう思う。



