すぐさま戻って来た杏花の手には
小さな包みが握られていた。
俺の隣りに腰を下ろした杏花は、
「ちょっと早いけど、お誕生日おめでとう」
その小さな包みを差し出した。
「フッ、ありがとな」
結婚して初めて迎えた『自分の誕生日』
勿論、彼女からバースデープレゼントを貰うのも初めて。
「開けていいか?」
「うん」
俺は彼女が心配そうに見つめる中、
青い包装紙に包まれた包みを解いた。
すると、中にはブラックレザーの名刺入れが。
「おっ、名刺入れ?」
「……うん」
それを手に取って中を見ると、
内側に『KANAME.I』と刻印されている。
それと……。
「ん?……このマークは?」
ネームの横に『水』のような、
『*』のようなマークが。
不思議に思い、杏花へ視線を移すと



