ただひとつ。Side Story






「あ~…。駄目だ、何か緊張してきたっ。」


一枚の便箋を片手に、ひよりは大きく息を吐いた。


「もう?早過ぎだよ。明日、ホントに大丈夫?」


「…うん。」


「練習する?」


「ん。いい!明日…楽しみにしてて。」


「…うん。」




彼女の手は僅かに震えていて……


そわそわと落ち着かない。


何度もホテルのベッドに寝そべっては、またそれに目をやる。




「…楽しみってか…何か、心配。泣くな、こりゃ。」


「やだなー…、まこ。もう泣かないよ!」


「期待してるよ。」


「プレッシャーかけないで~!」


「あははっ、ならもう少し静かにしてよ。こっちまで落ち着かないじゃん。」


「…う…。」


「…全くも~。ホラ、リラックスリラックス!…温泉でもいこっ!」


「…はあ~い!」


ひよりは渋々立ち上がると、大事そうにそれをファイルに入れて……


のろのろと準備を始めた。