ただひとつ。Side Story




「和志っ。」



自分の席に座り、佇んでいると…、


不意に、名前を呼ばれた。




声を掛けてきたのは、ナナメ後ろの席に座る女子·『加藤』だ。



「今日は部活何時まで?」



「さあ。進藤(先生)次第じゃね?」


「待ってるから一緒に帰ろう?」


「いーけど…、なんで?」


「…うちらの仲じゃん!別に深い意味ないし。」


「ふ~ん。んじゃ、終わったら体育館で待ってて。」


「ん。分かった。」




俺はまじまじと加藤の顔を見つめた。


すると…、


彼女の顔が、ほんのちょっと赤くなる。


…と、いうのも…



女子ホッケー部に所属する彼女は、男子の俺なんかよりずっと肌が黒くて…


顔色の変化に気づくのは、至難の技だ。




ちなみに俺はこういう時のカンはいい方だ。


自惚れじゃなかったら…



こいつは俺のことが好き。




何の根拠もないけど、カンが外れることは滅多にない。