ただひとつ。Side Story

『…あいつはホント、すげーよな…。報われない想いをしてんのは、俺の方かも。』




【報われない想い…】。



颯太くんはそう言って笑ったけれど…



颯太くんの願いは彼女に届き…


報われないどころか、今こうして…


確かな、現実を生きている。




私はそんな風に、人を好きになったことがあるだろうか。


無我夢中に何かを手に入れようと、もがいたことはあっただろうか。




記憶の片隅で燻る…
あの、小さな感情をただただ押し殺して…




何もしない。


…何もできない。


強くもない。


弱くもない。


ただ平穏無事を願う…


つまらない人間。




だから、ひより…


私はあなたとは違う。



独りで歩くことが苦痛でもなく、


かといって、それが好きな訳でもなく…


人の幸せばかりを横から眺める、


ただの


『傍観者』ー…。