ただひとつ。Side Story




「…ちょっと~大地、かけないで!」


「いーじゃん、どうせ濡れてるし。」


いつの間にか…


みんなが、海の中に足を入れては…、


じゃれ合っていた。




「ひよりちゃん、スカートの裾濡れてるし。」


「え、嘘っ!」






「…しょーもないなぁ…。」


颯太くんは小さく呟くと……



スーツの裾をたくし上げ、海に向かって走り出した。




真っ直ぐに、


彼女の元へ……。





力強く駆けていくその背中に、


私は何となく…、安堵の息をもらした。




みんな、笑っている。




健くん、


楓、


大ちゃん、


颯太くん、


ひより……。


和志、


透子……。



みんな、一点の曇りのない笑顔。





「私もあんな風に笑えるかなぁ…。」




遠い遠い、あの飛行機雲に手を伸ばし…



ぽつりと呟いた。





私は…、



私達は、



迷って…



立ち止まって…



振り返って……



そうやって、何度も確認しながら自分の道を切り拓いてきた。



間違いもあったかもしれない。


逆戻りしたこともあったかもしれない。



それでも……




その軌跡には、何の嘘もない。



あの、飛行機雲のように……




真っ直ぐ、


真っ直ぐ



進めばいい。