ただひとつ。Side Story

不思議なことに……




さっきまでのモヤモヤは嘘のように、清々しい気分になっていた。




「…まこちゃんさ…。」


「…ん?」


颯太くんが、いつの間にかすぐ側に立っていた。




「…ひよりがいなくなったら淋しい?」




思わず、颯太くんの顔を見る。




「…いなくなるって?」



…どういう意味?



「つまり…、俺があいつをこっから連れ出すってこと。」




「…それって…。」




「……。やっぱ、俺らは一緒にいないと駄目な気がする。もう…あいつのさみしそうな顔、見たくねーからさ。」




「…結婚するの?」




「うん。あいつのOKが出たらな。」




ひよりは、波打際で…


楓と共に、無邪気にはしゃいでいた。



「……淋しい訳ないじゃん!そんなの…、嬉しいに決まってるよ!」




「あははっ!まこちゃんにそう言って貰えると、心強いなあ…!」




颯太くんが、また、少年に戻る。




相変わらず私の胸は音を立てるけど…




弾むようなこの胸の高鳴りが、なんでこんなに心地良く思えるのだろう。





それは……




彼女の…、




ひよりの願いが、彼に届いたからだろうか。





大好きな人たちの笑顔が……



私の心の隙間にある、燻る感情をかきたてていく。





「まこ!冷たくて気持ちいーよ!」




ひよりの声に、みんなが一斉に私の方へと振り返った。