ただひとつ。Side Story

高校を卒業して…



6年の月日が流れていた。




24歳。



私たちは大人になり……




それぞれの人生を、歩き続けていた。



私、【長谷川まこ】。


そして……、


親友·【市川ひより】と…


その彼氏で、同級生でもある【青山颯太】は…、




久しぶりの再会を果たしていた。





私は相変わらず、人の恋をうらやましく眺めるだけで……


あの頃と、何ら変わることのない日常を送っている。




ひよりと颯太くんは…


彼らが小学校の頃に出会い、


ひとりの少女の運命に……


ある意味翻弄されながら生きてきた。


二人の固い絆は…


再びお互いを巡り合わせ、そして未来を誓い合った。



幸せな時間を……



二人は初めて、手に入れたのかもしれない。




颯太くんとまともに会話を交わしたことはほとんどない。


なのに。




なのに……



なぜだろう。




ほんの少しだけ交わした会話。



彼が放った言葉は今もなお、


私の心の中で…
生き続けていた。





『…一筋縄ではいかない男だね。』


『それはそっちじゃん。』


『…私?何で?』


『モテるのに、誰にも振り向かない。気持ちがぶれない。…カッコイイじゃん。』


『そうでもしないと、あの子を守れないよ。』


『……。』


『…ひよりは、きっと誰よりも強い。強く在ろうとしてる。本当はさ、ただ色んなことを我慢して、弱い自分を押し殺してるだけなのに。だったら弱音吐く相手が必要じゃん?だから…私は強くなったよ。もう二度と、ひよりのあんな顔見たくないから。』


『「あんな顔」って?』


『…颯太くんだけには言わない。でも、ひよりの笑顔を取り戻せるなら…私は男なんて、いらないよ。』


『…報われない想いか…。』


『何とでも言って。私は、私の生き方を変えない。…ひよりから教えてもらったことだよ。』