ただひとつ。Side Story




「みんな…、臆病になってただけなんじゃないかな。まこも、楓も、私も…。好きになればなるほど、振られるのは怖い。想いを閉じ込めていれば…、自分が傷つくことはない。誰がどうしたからなんて初めから関係ないよ。……ただ弱かっただけ。」



「「…………。」」



「…過去は水に流そう。大切なのは、今、これから自分がどうしたいか…だよね。」


…過去は、過去。



…それは、確かにそうだろう。



………あれ?



何だか話の論点がズレてきている?



「…まあ、つまりは…、私もまこもまだまだ足りないってことだね。」


「……ん。」




何だろう。


いつもいつも……


私達は同じことを繰り返す。



自分に自信なんてなくて、


一人で諦めて、


なのに、そんな自分が許せなくて……



悩んで、


もがいて、


また苦しくなって……



そうして、何度も何度も……



立ち止まる。




「完璧な人間なんていないよ。それがいーんじゃん。努力を知らない人間は、いつか後悔するよ。」




楓はそう言って…


ニヤッと笑った。






「お取り込み中の所、失礼しま~す。」


不意に、背後から聞こえる声。




「…透子。」


…にっこりと笑う透子。


そうだ。


透子こそ…


幸せの階段を自らあがっていったシンデレラ。



「色々あやかりたいわ、ホント。」


楓が優しく微笑む。


「…そっか。その通りだね。」


ひよりがウンウンと頷く。


「…お手本がいたね。」


私も、迷わず同意した。




「何よコソコソと…。主役じゃなかったらまぜて欲しかったよ。」


「主役はトーコしかいないよ。」


「…馬鹿だね、誰だってなれるんだから。…いずれはね。」




『誰だってなれる』。


さりげないトーコの言葉が、全身に染み渡っていく。



いつかは…


私にも、なれるのかな。