ただひとつ。Side Story



「……。大丈夫、ちゃんと伝わったよ、全部っ!」




気づけば…




私は立ち上がって…


そう、叫んでいた。



ひよりが、


透子が、


和志が……、



キョトンとした顔で私を見ている。



「おう、伝わった!」


続けて、健くんが立ち上がる。




「…健くん。」




顔が熱い。


自分の何処に、こんな勇気があったのだろう。


私はひよりとは違う。


こんな晴やかな場所で、


こんな目立つようなこと……


今まで一度だってしたことはない。


なら、何が私をそうさせた…?



心臓がバクバクと音を立てている。




沢山の視線が…


私達に、注がれている。




「…ホント、お前らバッカだな~。」


颯太くんがぽつりと呟いて…


ゆっくりと、手をたたいた。





パチ…


パチパチパチ……




会場から…


拍手が起こった。



一体…


何が起きた?





「透子…、和志。…大好きだよ。私だけじゃない。みんなが…、そう思ってる。だから、誰よりも幸せになって下さい。…和志。透子をずっと笑わせてあげてね。………最後になりますが、お二人の更なる幸せと、ここにご臨席されている皆様のご多幸をお祈り申し上げ…お祝いの言葉にかえさせていただきます。………。ありがとうございました!!」


ひよりは二人に一礼し、それからこちらに向かって深々と頭を下げた。


私は立ったまま…


その姿を片時も見逃さずに見つめていた。




透子が高砂からあわてて降りて……


ひよりをギュッと抱きしめた。



私はまた…


目が熱くなる。





暫くすると、ひよりは俯き目元を腕でこすりながら…


こっちへと歩いてきた。


私は、立ち尽くす。




やがて彼女は、私の目の前で立ち止まった。