「17歳の私に…、透子は言いました。きっと…覚えてないかな?…『まだまだ人生って長いじゃん。小さいことに一喜一憂して、笑って、泣いて、そうやってずっとこの先…生きていける。』『私は、笑っていたい。…人生楽しくなるじゃん?』、って…。………これからの人生は、和志と一緒に、そんな風に…過ごしていってください。」
透子が何度も何度も、頷く。
取り留めなく溢れ出す涙さえも綺麗で……
不思議な静けさの中で、
彼女の啜り泣く声が…
小さく、響いた。
和志はそんな透子の涙を、必死に拭ってあげていた。
「……私が道に迷った時、和志はこう言ってくれました。」
和志はハッとしたかのように……
顔だけ、ひよりの方へと向けた。
その瞳が僅かに潤んでいるのがわかる。
眉間にシワを寄せて、ただひたすらに…堪えていのだ。
「……。『もう駄目だと諦めるのは勝手だよ。それでも…それに恥じないくらいの努力はしたのかよ?精一杯、自分の全てをかけて…そうやって生きたか?』。……。…これから、二人は長い年月を一緒に生きていくことになります。和志さんが言っていたように…努力も、忍耐も必要な時もあるでしょう。けれどそれを乗り越える術を、もう知っているはずです。ですから……、私の大好きな二人が、大好きな相手とこれから築いていく『家庭』に、心配なことは何一つありません。…もしあるとしたら喧嘩ばかりすることくらいです。そうなった時には…自分自身の言葉を思い出して下さい。そうやって…お互いを支えていって下さい。……。幸せに…なって下さい。………。すみません、まだまだ伝えたいことは山ほどあるのに…。いざここに立ったら頭が真っ白になって……。うまく…言えません。」
ひよりはそのまま…
今にも泣きそうな顔で、
にこっと笑った。


