ただひとつ。Side Story

「…私達は、まだこうなる未来を知らなくて…、それぞれが、色んな葛藤や困難を乗り越えようとしていました。でも…、人は一人じゃ生きていけない。そう気づくまでは沢山の時間がかかりました。それは、二人の絆の強さがあったからこそ気づけたのだと思います。手と手を取り合い、一歩歩み出す勇気を見出だした瞬間に…未来が変わりました。二人の想いが実ったことは、ある意味奇跡のようで…、こんな言い方をすると笑われるかもしれないけれど、運命であったと…、そう、思わずにはいられないのです。」





トーコは…、既に目頭を抑えていた。






「透子。……和志。私は…二人が今こうしてお互いの隣りにいることが嬉しい。」


和志は小さく頷く。


「…そして私もまた…、二人のお陰で、今こうしてここに居れるのだと…、そう思っています。…………。」




…ひより?




流暢に話していた彼女の言葉が…ここに来て突然…、詰まった。




「…和志は透子が笑っていられるように…いつもいつも、支え続けていたことを知っています。透子もまた…、ずっと幸せを願っていました。私はそんな二人の優しさに支えられてきました。……透子。覚えていますか?あなたが私に言ってくれた言葉を。私はいつも元気をもらっていました。だから…、昔、私に言ってくれたその言葉を……。そのまま、二人に贈りたいと思います。」



そこまでいうと…


ひよりは、瞼をギュッ閉じた。




「ひより…。」




これが……


彼女なりの精一杯。