ただひとつ。Side Story




和志の会社の部長さん、

透子の勤める美容室の店長さんが、それぞれ祝辞を述べた。


結婚式だから当たり前かもしれないけれど…


あまりにも当人達を称賛するから、それがかえって不自然で…何だか笑えてきた。



「…『和志くんは勤勉で、真面目に仕事に励んでいる…?我社にはなくてはならない、頼りになる存在…』。あのサボリ魔がありえなくない?」


楓が笑いを堪える。


「…『客に信頼される美容師……。』確かまだカット担当してないよね…。」


言葉はアヤと言うけれど……。



大袈裟すぎやしないか?





「それではここで、乾杯に参りたいと思います。乾杯のご発声は……。」


司会者に促され、手元のグラスを持って立ち上がる。




「カンパ~イ!!」


みんなとグラスを合わせると、私は乾杯酒を一気に飲み干した。


「おいし~、これなんのお酒?」


「さくらんぼだって!」


「へぇ~…!」