ただひとつ。Side Story

不器用な優しさが………


じんわりと私に伝わっていた。





「…ねえ、まこ。」


ひよりが小さく呟く。


「…ん?」


「…私もさ……。」


「……うん。」


「私も、結婚したいなって今思ったよ。」


「……。ひより?」


「…自分の思いを口にするのって、どうしてこう難しいんだろうね。」


「………。そうだね…。」


「あの二人はさ、きっとそういうのを乗り越えたからこそ今こうしてここにいるんだよね。」


「……そう…かもしれないね。」


「羨ましいな。」


「…うん。……ねえ、ひより。どうかした?」


ザワザワと胸が騒ぎ出す。


「…まこ、見ててね。」


「……?」


「披露宴。…ちゃんと、透子に気持ち伝えるよ。」


「…ああ…、うん!見てるよ。」


「…そしたらさ、聞いて欲しいんだ。」


「……うん?」


「…ちゃんと、話すから…、だから、まこに聞いて欲しい。私の話…。」




「…うん!聞くよ、何でも!」




私は……



私の頬を伝う何かを必死に拭い…、



再び、前を向いた。




透子が小さく頷いて…



隣りの和志と微笑み合っていた。