ただひとつ。Side Story

誰に話した訳でもない。


知られないように隠していたものが沢山ある。


逃げていたのは私。


私自身しか……


知り得ないことだ。




透子の後ろ姿をじっと見つめる。


私は彼女に、あまり自分の話はしなかったかもしれない。


それでも、


時には的確に…、私の心を読み解いていたような気がする。


透子の何気ない一言に、自分の知らない一面を垣間見ることができた。


普段あんなにおちゃらけていて、ズバスバ物を言う透子は…、本来なら苦手なタイプなのかもしれない。


それでもこんなに仲良くなったのは、彼女の隣りは居心地が良かったから…。


気づかないうちに、支えられていたのかな…。






「……あ…。」



何かが彼女の手元から放たれて…



それが私の視界へと飛び込んできた。


…反射的に…


私はその『何か』をキャッチする。







「…やったね、まこ。」


ひよりの声に、ふと顔を上げた。



和志が…


私を指差してケラケラと笑っている。


その隣りで……


やっぱり何かを見透かすかのようにして…


私と目を合わせた透子がにこっと笑った。


「………。」


私は私の手元を、もう一度眺めた。


「……綺麗…。」


黄色の花々が…


今の私には、とても眩しかった。



「…透子らしいブーケだね。」


ひよりがそれを覗きこんで、小さく呟いた。


「…ホントだね。」


「私も欲しかったぁ~…。」


続いて、楓もさも羨ましそうに声を上げた。


「…駄目。」




馬鹿だな…。


私はこんな小さなことでも泣けてきちゃうんだね。


透子……、


私を泣かせてどうするのよ。


こんな形で……


あなたの優しさを、あなたの愛情深さを表現するなんて…


こんなの、嬉しいに決まってる。