ただひとつ。Side Story

砂浜の上を、裸足になって歩く。



波打際を、ただひたすら歩き……


水面に映る、煌めく光に…



時折、目を細めた。






「………あ…。」




遠くに、堤防で佇む小さな人影…。



その影は、二つ。




寄り添うようにして、この広い海を眺めていた。




「……。」



近づく度に、


ドキドキと胸が高鳴る。





「…まる見えだっつーの…。」



しっかりと繋がれた手と手。



同じ時を…


同じ瞳で見つめている。




じゃれ合う訳でもなく、




ただ、二人……



時間を共有している。




「…笑ってる…。」


私は足を止めて、しばしその姿を見つめていた。




「…馬鹿だな。ふたりきりじゃないっての。」



初めて見るその光景に…


私もつられて笑った。





「……おーい、まこっ!」



その人影が、私の存在に気付いてしまう。




「なにしてんの~?!」



「…見てのとーり、散歩っ!そっちこそ何してんのー?」



「…同じ!」



「………。」



【同じ…?】




そうかな。


同じでなんて、ある訳ない。



「一緒に歩こ~!」



「………。」



「…暑いけど、ここ、風が気持ちいーよ!」



「お邪魔したらますます暑くなるからやめとく~!」



「……。じゃ、私が行くっ!!」



そう言って、


彼女は……


隣りで黙って微笑む彼に手を振った。




「……颯太くん、ごめんね!」



私は【彼】こと…


青山颯太に…


手を合わせて謝った。




「気にすんな、まこちゃん。悪い癖っ!!」


颯太くんは…


少年のような、屈託のない顔で笑う。


「………。」