ただひとつ。Side Story

「…俺には無理な生き方だな…。できるなら、いつでも本音でいきたい。猫かぶりは…いつか化けの皮はがれるぞ?」



「…そうなればいーよ。そしたらさ、こんな中途半端なことにはならないだろうけど…」



「………。」




「……【中途半端】は、俺の人生そのものなんだよ。」



「……そうかもな…。」



「……だろ?」



「だって聞いて欲しいなら、そんな遠回しに話さなければいいのに。」



「………。」



「ちゃんと、聞いてやるのにな。」



「………。お前はいい奴だ。」



「…あ?気色悪…。」



「…まあ、楽しくいければいーんだ。」



「…それは同感だ。」



「…楽な人生がいいよな。」



「…おう。」



「…だからこの話はもーおしまい!」



「……。お前からした話だろうよ。」





「そうだっけ?」



「そうだよ。」



「……そうか。」



「…うん。……あ。でもさ、一つだけ忠告してやる。」



「…なに?」



「中途半端なことしかできないっつーのは、仕方ねーとは思う。その人その人の生き方だからな。…けど、いつまでもそうしてたら…いつか、大事なものまでなくすこともあるだろう。だから、ちゃんと見極めろよ。手遅れになる前に…自分の生き方を変えるのは格好悪いことじゃない。勇気がいることかもしれないけど…」



「………。」



「…その方が楽だと思わねーか?」




「…どうだろう。」



「代償は大きいぞ。なくせば取り戻すのに今まで以上に労力使う。」



「…もう、なくすものなんてねーけどな。」




「お前なあ…、まだまだ人生これから!これからそういうものが、いくらだってできる可能性があるだろ?自覚するかしないかは別にして。」