ただひとつ。Side Story




それから…、




珍しく健が、次々に話題を提供しては…


一方的に颯太に話し掛けていた。





「…お前、気ィ遣ってるだろ。」



「…誰がお前に気なんて遣うかよ。」



しれっとした態度でそう言い放ったけれど……



わざとらしさは、拭いきれてはいない。



「…あ~あ……。」



何故か、颯太が深い溜め息をついた。




「…何だよ?」



訝し気に、健がそれを見ている。



「…俺…、何してんだろーな。」




「は?なんじゃそりゃ?この状況に何かご不満でも?ちなみに誘ったのはお前の方だからな?」



「そーいうんじゃなくてさ。」



「じゃあどういうのだよ。」



「…中途半端なんだよ。」



「……?ああ、野球のことか。それなら俺もそうかわらねーぞ。」



「…誰が野球の話っつった?」



「…ああ?何となくだ。」



「野球もまあ、そうだけどさ…」



「…何だ。認めるのか。」



「…けど…それよりもっと大きいモノだ。」



「……わからん。俺は特にお前に関してはとことんわからん。」



「…だろうな。その方が楽だよ、きっと。」



「…楽?」



「うん。人には知らないことがあった方が…幸せなこともある。」



「……?じゃあお前は…、人に本音は言わないで生きてんのか?そんなの無理だろ。」



「本音を言わないわけじゃない。言う必要がないからだ。」



「わっかんねーな。いーか、自分ひとりで背負ってばっかいると…後で何かしらのしっぺ返しくらうぞ。それでも一人で耐えないといけねーんだ。」



「予想の範疇内だ。」



「……まあ、言いたくなったら言えばいい。助けてやる奴がいるってことは覚えていた方がいい。」



「…ん。そうする。」