ただひとつ。Side Story

颯太の背後、一番奥のテーブルでは…




ひよりと大地が、仲睦ましく語り合っている。




人目のつかないような場所にいるのに……




どうしても彼は、見つけてしまうのだ。



…他でもない、ひよりの姿を……。






「………。」



一人だけでは何とも間がもたず、



彼は一度だけ……




そう、たった一度だけ……




振り返った。





…と、同時に…




「何見てんの?」



「……!」



タイミング良く…健に声を掛けられる。





「いや、トイレどこかな~なんて探してた。」



「なんだ。それなら…、あっち。」




健がひより達のいる方向を指差すから……



一瞬、颯太はドキっとした。



…が、全くその存在には気づいていない様子。





「…寒いし、後で行きたくなるかもしれないからさ。」



苦し紛れの言い訳だったが…、



「…お前は観光バスに乗るおばちゃんか?」



相手が良かった。



あっさりと笑いにすり替えられる。





「…じゃ、俺も買ってくるわ。」



そう言って席を立つと…



彼はいそいそとその場を去った。




あの二人を見つけてしまうのではないかと、少しだけ不安を抱きながら……。






レジは思った以上に混んでいて、仕方なく上方にあるメニューに目を通しながら順番を待った。



実は言う程お腹は空いていない。



ドリンクメニューを…



じっと見つめた。




「………。」




ふと、



彼女は何を選んだのだろうと…



無意識ながら、考えていた。




なんとなく、



なんとなくだけど……




予想はつく。