ただひとつ。Side Story

「…こんな安いモノで借りもなにもないだろーに。まあ、いいならいいけど…。」


「…いーからさっさと買ってこい。」



「おう。」




健がレジへ向かうと…




颯太は、ゆっくりと周囲を見渡した。



入口付近はどこも混んでいて……


座る場所もない。



仕方なく奥へ、



奥へと歩み進めていくと……




「………!」




思いもがけず、ある二人を目撃してしまう。




「…マジか……。」



颯太はくるりと背を向け、植木の陰になる席に……



わざと背中を向けるようにして、座った。




やけに……




時間が長く感じる。



そわそわしてどうにも落ち着かない。



颯太は自分が先に行けば良かったと……



少しだけ、後悔し始めた。