ただひとつ。Side Story

その時だった……





「…………う…。」






小さなうめき声が…


微かに、耳に届いた。




「………!」





状況を把握できる訳もなく……



颯太はゆっくりと立ち上がり、もうひとつの人垣の中心へと…



人をかきわけ、必死に向かう。




横たわる小さな女の子。



所々に血が滲み…



痛々しく震えるその手を、



真っ直ぐに空へと…



伸ばした。




「…ち…あき……。」