ただひとつ。Side Story

「明日の朝学校ですりゃいーじゃん。ホレ、早くいくぞ。」



「わかったよ。責任持ってお前教えろよ?」


「…ハイハイ。」





それから…



二人並んで、廊下を歩いた。




時折……



雷鳴が轟き、窓の外が白く光った。




「…お前何か話せよ。」



颯太が、健の尻を叩く。



「…何だよ、ビビってんのか?!」



「ちげーよ、お前が黙ると気色わりぃ。」


「…失礼な奴だな。」





彼は……



必死だった。




雷は恐怖以外の何者でもない。



こんな日に……



一人になんてなりたくなかった。




小突き合うその中で……



颯太は何度も何度も自分の掌をギュッと握り…



現実を確かめる。





…そう、



記憶の中で眠る、
自分の幼き日の姿を…


呼び覚まさぬように…。