ただひとつ。Side Story

「…ああ、例の人?何、何かしゃべってみたの?」



「………。いや、くだらない茶番劇をちょっとネ。」



「…ふ~ん。」



「…ねえ、まこ。ひよりってさ…どういう人好きになるんだろうね。恋愛沙汰に興味ないしさ。」


「…話が飛躍してるけど?」


「…そうだけどさ…、気になるじゃん。やっぱり大地くんみたいな真面目な人だよね。」



「…さあ…。どうだろう?あの子割とアレで自分を持ってるからさ、優しいばっかでは物足りないかも。価値観とか…似たような感性を持ってる人がいいかもね。」



「…それってどうしたらわかるの?」



「さあ…?直感とかかもしれないよね。お互いに惹き合うものがあれば…。」



「…そうか…。」



「…けどさ、ひよりと大ちゃん、私はいいと思うけどなあ…。」



「…だよね!私もそー思う!」



「…?なにそんなに熱弁してるの?」




「…後悔しても遅いっつーの。」


「………?」



「…大地くんて、青山くんと同じ中学?」



「………。ああ、そうかも?」



「…そっか、だから……」



「…も~、何なのよ一体!」



「…なんでもないっ。」





千鶴はひとり納得したかのように……



神妙な面持ちのまま、自分の席へと戻って行った。







窓の外には…



黒い雲が、次第に流れてきていた。






放課後…




「…ひより今日日直?…ガンバレ~!」



まこは黒板に書かれた日直当番の名前を見ながら……


ひよりに微笑みかけた。



「…うん?じゃあね!」




ひよりもまた、にこりと笑ってまこに手を振った。