ただひとつ。Side Story





外へ出ると、まばゆい太陽の光が容赦なく私達に降り注いだ。



快晴ー……。



透子と和志の結婚式を祝福するかのような…

明るく、スカッとした見事な夏空。




「…あ。ヒコーキ雲。」



私は遠くに浮かぶその雲を真っ直ぐ指差した。


「…ホントだ。長いなあ…。」


私の声にイチ早く反応するのはいつも…


ひよりだ。




彼女は親指と人差し指を空に掲げて、その長さを計っているかのような仕草をする。


例えば…


春には桜吹雪の中ではしゃいでみたり…


夏には風鈴の音色に目を閉じ微笑んだり…


秋には落ち葉をカサカサ鳴らしてみたり、


冬には真っ白な雪の上に突然ダイブしたり…。



決してロマンチストではないけれど、ひよりはそんな小さな感動を見つけるのが上手だ。


感性豊かという表現が正しいのか…。


そして…


決まって、満面の笑顔を私に向けてくれる。





くるくると表情を変える不思議な子…。



彼女がどんな反応をするのかが楽しみで、私はいつも何か面白いものはないかと探す。


そうするうちに…、私達は「好き」な物までどんどん似てきた。価値観が近づいていくのも……親しくなった証と言えるだろう。


時が経てば経つ程に、一緒に居ればいるほどに…ひよりの苦手なものにも自然と気づくようになった。


それは…


雨であったり、


雷であったり、


あまりにもグロテスクな虫だったり…。


あとは、


恋もそうだった。



今はもう違うかもしれない。


変わったかもしれない。


彼女の全てを知った気をしていただけなのかもしれない。






「…まこ?どうした?」


ひよりが私の顔を覗き込む。


「……ううん、晴れて良かったね!こんな絵になるような結婚式ってなかなかないよ。」


「…ホントだね!」




なんの疑いもなく、彼女は笑う。


その三日月は……


なにひとつ変わってはいない。