ただひとつ。Side Story

「……げ。」



「『げ』とは何だ。俺ならそんなことしたらグーでゲンコツくらいするとこだけど…、このご時世そんなことしたら大問題だからな。ったくやりづらい世の中になったもんだ。あんまり『先生』に心配かけさせんじゃねーぞ。あと、お袋さんにもだ。」



「……。」



「優しい人だから余計傷つく。」



「………。」



「颯太…、お前…苦労してきたな。」



「……そんなこと…ないですよ。」



「…お袋さんを守って、自分を守って…。お前の瞳はただの『子供』の瞳じゃないな。」



「………。」



「もう少し自分の望むように…、自由に生きたらいい。」



「…自由に…?」



「…ああ。そうだ。」



「結構好き勝手してますけど…?」



「……。まあ、人生は長いんだ。それにまだまだお前は若い!」




「………。」



「…切羽詰まったような顔しやがって…。そういう時は、いつでもここに来ればいい。1打席くらいなら、相手してやるぞ。」



「…ぶはっ…!それならまだリトルのピッチャーに投げて貰った方がマシっすね。」


「…おいおい、それは失礼だろう。」



「…先生は監督として『甲子園の夢』、叶えて下さい。」



「………!」



「…親父と同じ少年野球チームだったんスよね。」



「……何だ…、知ってたのか。」


「ついこの前、写真見つけました。マジで面影ありすぎて…、すぐわかりました。」



「…そうか。ついでにお前の親父も…、お前と同じ顔だったろ。」



「…似てないですよ。」



「…あ、そう。」