ただひとつ。Side Story




二人は…


互いの指に、リングをはめ込んだ。




和志がトーコのベールを上げる。




「10秒はいけよ…。」


「楓っ、しー…っ。」




そして……



トーコの横顔が、穏やかな笑顔を作り出す。



和志は身を屈め…



彼女の頬に、キスをした。




「…ほっぺかよ。」


「………。」



楓…


みんなに聞こえるよ。




すると、その声に反応するかのように……


彼は再び、透子に近づく。


「………。」



彼女は目を開けたまま…


キスされていた。


しかも、今度はしっかりと唇に…。




参列者から暖かい拍手が贈られる。


和志はというと…、


明らかにこっちを向いて、ニヤリと笑っていた。




「……。和志らしー…。」




チラッと颯太くん達の方を見る。


健くんが背の高い人に囲まれて、何度も何度も身体を上下しているから…


私はより可笑しくなってしまった。


…一番の見所だったのに。