ただひとつ。Side Story





とにかく…




彼が踏み切れない理由は、いつもそこにあった。



記憶の回路が……



父親の『死』へと、全てが繋がっていく。



大粒の雨の中で打ちひしがれる父親の顔と…



まるで第3者として見ていたかのように…
脳裏に映し出されていく幼き自分。





父親っ子だった彼にとっては……



ひよりのことも、野球のことですら……






胸の痛みを覚える、要因になっていたのだ。





それでも……




彼は思い悩む。



大好きな野球、


気にかけていた少女との再会。




それらは痛みと共に……


ほんの少しだけ、



小さな喜びを……



運んできたから。