ただひとつ。Side Story

神父さんの声に、一斉に皆が中央を向いた。



やがて……



いつになく引き締まった表情で……



新郎が入場してきた。



「…カッコイイじゃん。」


隣でひよりが呟いた。



そして……




大きな拍手に包まれながら、


父親とバージンロードを歩き出す花嫁。



「「「「綺麗……。」」」



楓も、ひよりも、私も……


目を奪われた。



ベールの奥のその瞳は……



真っ直ぐに、


ただ一点を見つめている。



私は…


息を飲んだ。




彼女は父親の手を離し…


一歩、踏み出す。




手を差し延べて待っているのは……



静かに頷き、優しく微笑んでいる……




和志だ。




「うっ……。…ひっく………」


「………?!」


ふと横を見ると…


何故か楓が啜り泣いていた。




「…ちょっ…、楓?」


「……だって…、良かったね、ホント…。マジでキレー…。」


「今からそんなに泣いてどーすんの?」


「だって…無理ぃ…。」




一方……


無言で前をじっと見つめるひよりの瞳にも…


光るものが見えた。




ひよりは必死にそれを拭って、


彼女……、


透子の姿をなおも捕え続けていた。



感動屋というか、バカ正直というか……。



こういう時に綺麗な涙を流せる彼女らは……


とても人間味がある。


自分がまるで、冷血漢のようにすら思えてきた。



「………。」


私は再び、 視線を戻した。



確かに……



透子は今までで一番、輝いている。


そして…夏に咲く向日葵のように…


華やかで、眩しいほどの笑顔。



どれだけの幸せを今、手にしたのだろう……。