ただひとつ。Side Story

「ちょいと待て、聞き捨てならねーな。」




二人の会話に…


突然、一人の男子生徒が割り込んだ。



「「げ。」」



颯太と和志の双方がうっかり声を上げた。



「颯太。お前ひよりちゃん狙いなのか~?どっちかハッキリしろや。」



茶色の髪に、体格のいいこの男は……



やはり二人の中学からの友人である、健だ。




「誰もそんなこといってねーだろ。てかお前、何で知ってんの?」



「お前こそ。俺は入学式ん時から既に目ェつけてたんだ。お前はおよびじゃねーよ。」



「…なら、神尾くんのライバルだな。」



「……神尾って…ああ、ひよりちゃんとよく一緒にいるやつ?あいつ、同中だったな…。」



腕を組んで、健は考え込んだ。



「ひよりあいつモテてんなあ~。本人に言ってやりてー!絶対すっとぼけるぞ。」


「余計なことすんなよ。俺は見てるだけで幸せなんだから。」





「…じゃあ…、おまえらはひよりのファンってヤツか!」



和志が閃いたかのように声を上げた。



「一番は俺だからな。」



健が颯太に釘を刺す。



「…ハイハイ。」



一方の颯太はあまり相手にはしていない。



「おもしれ~、てか、おまえらはひよりの恋愛対象にすらならねーってことだ。あーあ、神尾くんのひとり舞台かあ…。イマイチ面白くねーなあ…。」



「…お前が楽しんでどうすんだよ。」



「俺のモットーは『人生楽しく』!『七転び八起き』!…だから、いくらでもそのネタになるものは大歓迎だ。」



「暇人だなあ…。」




半ば飽きれながら、颯太は大きく息を吐いた。




もしかしたら…



自分とひよりは、大地の彼女として知り合うことになるかもしれないのだから……。