ただひとつ。Side Story





不意に……




颯太は足を止めた。




まるでスローモーションのように……



ゆっくりと時間が流れているような感覚。




『…いた。』




彼のすぐ横を、風が掠めていく。





【市川ひより】……。





たった一目見ただけなのに……



不思議と確信を持っていた。



『…面影がある。』




振り返りその背中をじっと見守っていると、大地が不思議そうに声を掛けてきた。



「…はやちゃん?どうした?」


「え……?」




一年前のあの日を……



まるで再現しているかのようだ。




「…どーもしないよ。てか、そっち体育?」


「…うん。」


「い~な、俺は今から地理。ねみーよ。」


「ははっ、ちゃんと起きてなよ?また先生に目ェつけらんないようにしないと。」



「…それ、今日二度目。」



「?ん?」