ただひとつ。Side Story

予感は確信に変わった。



この子は…


自分を守る為に強く在ろうとしていたんじゃないか、と……。


涙ぐむ楓の姿は、ただの小さな少女のようであった。


仮面が剥がれた瞬間を見てしまったのかもしれない。


私はその時初めて…、なぜ彼女がみんなから愛されるのかがわかった気がした。


だから……




透子が入院する病室で再会した時…、



ちょっとだけ、嬉しかったんだ。


報われずにいた彼女の恋が…



大好きな彼の手によって、新たに…、そして着実に育まれていたのだから。


幸せそうに彼女を見つめる大ちゃんを見て、心底安心したのだ。






「…あ、そうだ。楓、大ちゃんは?」


「外で待たせてる。」


「…相変わらず尻に敷かれてんのねえ…。」


「世の中かかあ天下のが上手くいくもんだよ。」


「ふふっそーかもね。」


「…どれ、化粧もオッケー?早く行こ?」


「…うん!」




楓は私達の肩に手を回し…


三人並んでトイレの外へと向かった。






「……おっ。まこ、ひより!久々だな!」


そこには…


満面の笑顔で大ちゃんが待っていて……



何だか、照れ臭かった。



「ふ~ん……」


大ちゃんの視線が私達を捕らえる。


「…さすがに綺麗だわ。」


サラッと…


そんな言葉を放つ。


「…コラコラ、彼女に睨まれるよ。」


私はわざと憎まれ口を叩いた。


「まこ。私はそんなに器ちっちゃくないよ~。」


楓はニヤリと笑って、大ちゃんの胸をバシッと叩いた。


「……ちっさ…。」