ただひとつ。Side Story

「ちょっと、まこ。人の顔見るなり何よ?」


「…ごめんごめん!だって楓ちっとも変わってないんだもん!」


「………?そりゃ若作りに余念ないもん。」


「あはは!若作りっ…。」


「……。アンタ笑い過ぎ。」


楓は大きな瞳で私を睨んだ。


けど……


怒っているわけではない。


口の端っこがキュッと上がっている。



誰よりも綺麗な顔。


ちょっときついストレートな物言い。



そして…


「二人だって変わってないじゃん。」



ちょっとだけ不器用な、かわいい一面……。



「みんなに会えるの超楽しみにしてたんだからね。」


「あはは、楓~!」


ひよりが彼女に抱き着く。



「よしよし、ひよりはかわい~なあ…。」



……。ひより【は】?


「………。」



人の縁って…


不思議なものだ。




数年前まで…


楓とは、口すら利いたことはなかった。



派手な化粧、


派手な友達……。



私とは合うわけがないと…


近づくことすらなかった。



けれど不思議なことに……


繋がっていたのだ。



颯太くんや和志は彼女を好いていて…


決して邪険にすることはなかった。



そして……



大ちゃんの初恋の相手だと知った時……



私は彼女に、少なからず…興味を抱くようになった。




真っ直ぐな想い……。



彼女が颯太くんに抱く想いに…


嘘も、偽りもなかった。



なのに彼女は決してでしゃばらない。


ずっとずっと…


自分の想いを押し殺して、ただ颯太くんを見守り続けていた。


なんて優しくて、逞しいのだろうと…


密かに思った。




最後の学園祭。


大ちゃんが彼女の声に振り向いた時……