ただひとつ。Side Story

そんなの…


上手い誉め言葉だよ。


なのに何でだろう……。


真っ直ぐ伝わる想いがある。


やばい、泣きそうだ。



「…早く終わらせて二人でゆっくりコーヒー飲も。」



そんな小さな優しさは……



昔から変わらない。




「…ありがとう。」



だから私は……



私達は、素直な自分で居られる。







洗い物を終えると、私達は二人並んで座った。



コーヒーの湯気が揺らいで……



君の表情をちょっぴり隠す。



『ふっ…』っと…



颯太は小さく息を漏らした。




「ヤバいな。…思い出す。」



「……?」



そのまま一口コーヒーを口にすると…



「高校時代。」



さも懐かしそうに微笑んだ。



「非常階段でさー、こうして並んで飲んだよな。まだ片想いだったからドッキドキだった。」